中学受験は多くの場合、新四年生2月(三年生の3学期)にスタートします。
算数は中学受験にとって最重要科目ですが、4年生は基本的な学習です。4年生のうちに遅れないようにするためには、間違えのない成功する学習方法をすることが大事です。
成功する学習方法は以下の5つのポイントです。
①授業中にわかったことは解きなおしをして定着をはかる
②授業中にわからなかったことは家でもわからないのでやらない
③わからない→わかる→できるを意識する
④テストの復習はすべて解きなおさない
⑤もったいないミス以外は指摘しない
①授業中にわかったことは解き直しをして定着をはかる
③でも説明しますが、わからないとわかる、できるは区別をする必要があります。
授業中であれば以下のように区別できます。
【できる】→授業中の問題演習で〇がついた問題
【わかる】→授業中の問題演習では×だったが、先生が説明したら納得できた問題
【わからない】→授業中の問題演習では×で、先生が説明しても納得できない問題
算数の家庭学習で授業でやったことのやり直しをする場合、これら全部を復習する必要はありません。
家庭学習でやらなければいけないのは「わかる」問題の解き直しだけ。
「わかる」問題は先生が説明したら納得できているものの、自力でできた経験はない問題です。
この問題をできたことにしようとするから、テストで×になるのです。
「わかる」は「できる」に変えないといけません。これは個別指導塾や家庭教師でも起こりがちです。
「今日の授業はよくわかったよ。」
「すごいわかりやすかった。」
そんな生徒が家庭学習をせずにテストに向かうとたいていできません。
そうすると、塾が嘘をついているのか、本人が嘘をついているのかと保護者は怒ったりあきれたりします。
塾の努力不足は認めますが、本人も塾も実は嘘をついていません。
「わかる」は「できる」ではありません。理解しても定着していないものはテストでは〇になりません。
だとすると、答えの出し方や考え方に納得感のある問題を自力で解けるようにすることが、家庭学習において一番大事なことであるといえます。
具体的には、模範解答通り、先生の説明通りに真っ白な紙の上で再現できるかどうか。
できないなら解答・解説を丸写しにしてから一つひとつの式の意味を言えるようにすることが大事です。
答えを見ることを嫌う保護者や生徒がいますが、はっきり言ってわからない問題を長く考えるのは時間の無駄です。
テストは長くても60分。一問につき最大で15分くらいしかかけることができません。
通常は1問につき1分~5分です。
5分考えてわからなければ答えを見る
答えを見てもわからないならこれ以上やらない。誰かに聞く
こうすることでストレスを感じることなく、勉強を進めていくことができます。
長く考えること、答えを見ずにやることを美徳にしないこと。大事なのは効率的に最大の効果を得ることです。
長く考えなければいけない問題は確かにあります。
楽しんでやれているなら長く考えることはひらめきや発想の引き出しを増やすことにつながりますが、ストレスをため、苦労しているのならこだわらずに答えを見るべきです。
②授業中にわからなかったことは家でもわからないのでやらない
授業中にわからなかったことは家でやらない。これは鉄則です。
授業中にわからないということは先生が説明しても納得していません。
そんな問題を家でやってもわかるわけがなく、ましてやできるようにはなりません。
授業中にわからなかったことは「家庭学習をする準備ができていない問題」です。
こういった問題を家庭学習でやろうとするからストレスをため、勉強が嫌になるのです。
やらないといけないことは「わかる」問題を「できる」問題に変えること。
わからないから進まない、進まないからストレスを抱えやる気がなくなるという負のスパイラルを作らない。
家庭学習とは自力でできる可能性のある問題を行うことです。ここを外さないようにしないと学習習慣は定着しません。
③わからない→わかる→できるを意識する
公式や解法の獲得は以下の3つの段階を経る必要があります。
「わからない」→「わかる」→「できる」
最初は誰しも「わからない」状態です。この状態のときに一番効率のいい勉強方法は「教えてもらう」です。
「わからない」状態のときには全体が見えていません。よく「わからないところがわからない」という状態がありますが、これはまさに全体が見えていないからです。「何がわかればいいのかがわからない」状態とも言えます。
「わからない」を「わかる」に変える。そのために授業があります。集団指導であれば最大公約数的な一般的指導、個別指導であれば一人ひとりのわからないを抽出し教えるという個別的指導になります。
「わからない」の状態の時は自力でやろうとしないこと。
非効率的ですし、ストレスもたまります。わからないことは教えてもらう、質問をするに限ります。個別指導であればこのわからないに焦点を当てた授業をするため、家に帰ってきて、「今日はよくわかったよ。」という感想になるのです。
「わかる」状態の時は先生の言ったこと、解説を読んだら「ああ、なるほど。」と思った状態です。この状態のままテストに臨むと×になります。
「わかってたのにできなかった。」
これは当たり前の話で、「わかる」の状態だとテストではうまくいかないのです。
かといって、質問をする必要はありません。一度は納得しているのですから、そのやり方をもう一度自力で再現する練習をすればいいということになります。
すなわち、「わかる」の状態に残したままテストに臨まないというのが鉄則です。「わかる」の状態のものは必ずもう一度以上解き直し、「できる(定着)」の状態に変えてあげる必要があります。
自習はこのわかるをできるに変える(わかる→できる)が目的です。
例えば100問の問題演習をやって、〇が30問、×が70問だったとします。
この時、〇の30問がすでに「できる」の状態になっているため、復習(解き直し)の必要がない問題です。
×の70問ですが、以下の2つに分かれます。
●解答解説を読んだら「わかった」「納得した」
●解答解説を読んでも「わからない」「納得できない」
この時、復習(解き直し)が必要なのは「わかった」「納得した」問題だけです。「わからない」「納得できない」問題は解き直しをしたとしてもストレスをためるだけで非効率的です。
仮に、「わかった」「納得した」問題が40問だとすれば、自習でできるにかえる問題はこの40問ということになります。
例えば、目標点が80点だとした場合、わかるの40問ができるに変わったとしてもまだ10点分たりません。
その場合にはこの10問を「わからない」から「わかる」に変える必要があります。その場合には自習ではなく、人に聞くというのが効率的です。
「わかる」に問題を残したままテストに臨まない
「わからない」問題を自習でやらない
この2つだけで時間の短縮と確かな効果が望めるはずです。
④テストの復習はすべて解き直さない
テストの復習をするときに間違えたところをすべて解き直すという復習をしていないでしょうか。
テストの復習では、その生徒の現状に合った復習(解き直し)をすべきです。
例えば偏差値が50に届いていない場合、まずは平均点を目指すために解き直しをすべきです。正答率でいえば60%台以上の問題での×を解きなおせば偏差値50を突破することができます。
偏差値60を目指すのなら、正答率20%台以上の問題での×の解き直し、
偏差値65以上を目指すのなら、正答率10%未満の問題での×の解き直し
このように現状の成績から復習すべき問題を絞ることが大事です。例えば偏差値40台の生徒にいきなり正答率5%の問題の解き直しをさせても非効率です。
まずは偏差値50、その後60、65と目指していくことで、どの問題が解けなければいけないのかは変わってきます。
テスト直後では、正答率がわからないため、本人の主観ですが
この問題は〇になる自信がある
この問題は〇になる自信がない
という「主観の〇つけ」をテスト中につけておいてもらうと復習に役立てられます。
実際の〇つけとつきあわせると以下の4つのカテゴリに分かれます。
①〇になる自信があった。結果〇だった
②〇になる自信があった。結果×だった
③×になると思ってた。結果〇だった
④×になると思ってた。結果×だった
この中でテスト直しをしなければいけない問題は②です。
④は同じ×ですが、テスト直しですべき問題ではありません。×になると思っていて結果×だったのであれば予想通りの×です。この×は人から教えてもらったほうがいい問題です。
すぐに〇になりそうなのは②。②の場合、多くはケアレスミスと呼ばれるミス。これはすぐに〇にすべきミスです。テストの解き直しは自分の実力で〇にできたはずの問題で行うべきです。
③は要注意。でたらめにやったら当たっていた、間違いだと思っていたやり方が実はあっていたという理由が考えられます。どちらにしてももう一度定着を図る必要があります。テスト直しというよりはもう一度人に聞いたほうがいいかもしれません。
⑤もったいないミス以外は指摘しない
テストの点数が悪いとどうしても指摘したくなります。なんでこんなのができなかったの?といいたくなります。
テストが返ってきたときに大事なのは、褒めながらもっとこうやったらより良くなるというフィードバックをしてあげることです。
その時に使える魔法の言葉は、
「ここに気をつけないのはもったいないと私は思うよ。」
「がんばってるあなたならここができないのは私が悔しい」
と、私を主語にした言葉です。
できないことは指摘しやすいのですが同時にやる気を0にします。
「がんばっているあなたのがんばりが報われないのは私は悲しいし悔しい。」
子どもの頑張りを認め、それが成果につながるにはどうしたらいいかという方向で話をしてあげてください。
最後に
中学受験は算数の受験といっても過言ではありません。
算数は、学校によっては受験者平均点と合格者平均点が20点以上開く科目です。
算数は難問をどう解くかに目が向きがちですが、合否を分ける難問を出題する学校は多くなく、たいていの学校は難問ではなく標準的な問題の取りこぼしで合格を逃しています。
算数嫌いは受験合格を遠ざけます。
算数の勉強で喧嘩をしてしまう、
取り組みが遅い、やらない
といったことがあったら必ず塾でご相談をすべきです。
もちろん、私にご質問・ご相談いただいてもかまいません。算数の成功は受験の成功です。
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