テストの点数は学力と答案作成力の掛け算であると別の記事で紹介しました。
その中でも答案作成力は以下の2つで構成されています。
①時間配分
②見直し
今回は②見直しについて解説します。
表題で問いかけましたが、見直しの仕方を教わったことはありますか?
少なくとも私は生徒に教えるようになってから考えるようになりました。学生時代に見直しの仕方を教えてくれた学校の教師はいませんでした。
見直しをしろと大人たちは言うが、そのやり方を誰も説明できない。
結果を見てケアレスミスが多かったら見直しをしてないからだと怒られるだけです。
見直しの仕方をきちんと教えてくれる塾はどのくらいあるでしょうか。いい授業をしていればテストの成果に結びつくと授業に没頭させる塾はいまだに多いです。
見直しについて、きちんとした目的とやり方を理解することで、テスト中の行動は劇的に変化します。
見直しとは何か?
見直しとは何か。これをまずは定義しましょう。
見直しとは「〇になる自信のある問題が確実に〇がついて返却されるように自分の答えを整える」ことをいいます。
想像してみてください。テストが残り5分で、時間がかかりそうでかつ難易度の高そうな最後の問題が残っています。
もし100点を目指しているということであればこの最後の問題に取り組み正解にする必要があります。しかし、目標点は100点でしょうか。
中学入試に限らず高校入試でも大学入試でも100点を取る必要はありません。合格最低点はどれだけ高くても7割ラインです。
残り5分で残っている問題に手を付けることでもちろん〇になる可能性がないわけではありません。
しかし難易度の高そうな問題ですから〇になる可能性も低く、時間もかかりそうなので時間切れになる可能性もあります。
残り5分でやることは残った問題に取り組むことではなく見直しをすることです。
けれども、見直しは今まで取り組んだすべての問題で行ってはいけません。
ここで注意しなければいけないのは「すべての問題で見直しを行う必要はありません」ではなく、「すべての問題で見直しを行ってはいけません」ということです。
見直しすべき問題
見直しの定義をもう一度紹介します。
「〇になる自信のある問題が確実に〇がついて返却されるように自分の答えを整える」
つまり〇になる自信のある問題だけが見直しの対象です。
そのため、テストに取り組んでいる時、この問題が〇になる自信があるかどうかをあらかじめチェックしながら解く必要があります。
〇→〇になる自信がある問題
×→答えは出したけれども〇になる自信がない問題
答えが出ていない場合には見直す対象の問題がありませんので除きます。見直しの時間にこのような答えの出ていない問題、空欄になってしまっている問題を取り組むのはお勧めしません。
前述の通り、見直しをせずに空欄を埋めるようなテストの時間の使い方をすると俗にいう「ケアレスミス」「凡ミス」「うっかりミス」が続出します。
ケアレスミス・凡ミス・うっかりミスがなければもっと成績がいいのにとおっしゃる方は多いですが、それは当たり前のこと。
成績がいい人はミスがないのです。それを認めないと地頭(じあたま)や能力といった考え方から脱却できません。
全部の問題を見直すのは間違い
全部の問題を見直してはいけません。その理由は学生時代のあるあるにあります。
例)
最初に答えは16だと思い16と書いた。
ただ、この答えには自信がない。見直しをしろというのでこの問題を見直したら24と出てきた。
そのため、16を消して24を書いたら答えは最初に書いた16だった
こういうことは誰にでもあります。この場合、この問題を見直さなければよかったのです。
〇になる自信がない問題は見直しをしません。
見直したところで自分の中にやり方を思い出した等の変化がないままもう一度取り組んでもやはり自信のない答えが出るからです。
16と24。どっちが信ぴょう性があるでしょう。どっちも信ぴょう性はありません。
だとすれば、最初の16をそのままにした方がいいのです。
そもそも自信がない問題ですから〇にならなくてもいい問題と割り切れば、むしろ見直さなければいけない自信のある問題に時間を使うことができます。
難関進学校合格者は見直ししない!
難関進学校合格者は見直しをしません。難関進学校はいろいろと定義がありますがここでは別記事で紹介している鉄緑会指定校から早稲田中を除く+武蔵中を指しています。
この難関進学校は見直しをする時間がそもそもありません。一発で丁寧に答えを出し切らないと合格点にならないように問題を作っています。
論理的思考力や表現力を伴う入試問題では、問題を解きながらその都度見直しをして進めていかないと、全部終わってから見直しをなんていうことが時間的にも内容的にも適さないようになっています。
難関進学校受験者は見直しありきの答案作成力ではなく、時間いっぱいまでていねいに自分の解法を追っていくことが大事です。
同じ偏差値でも大学附属校受験では見直し必須!
同じ偏差値でも大学附属校であれば別です。早稲田中は鉄緑会指定校ですが入試問題では大学附属の出題傾向に近いためこちらに分類されます。
大学附属校は偏差値が高くても出題される問題に論理的思考力を求める問題は少なく、出題されたとしても合否をわけるような問題や配点ではありません。
大学附属校は、附属・係属の大学に進学した際に活躍できる人材を育てたいと考えています。
そのため、素直さやまじめさを測るために作業の丁寧さや読解の丁寧さを求めています。
当然出題難度は難関進学校に比べ低くなりますので、合格をするためにはいかにミスなく答案をまとめるかがカギになります。
大学附属校合格には学力以上に答案作成力が大事な要因となり、見直しの精度を高めることは合格するために絶対必要なのです。
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