進研ゼミに代表される通信教材は今やタブレットに姿を変え、多くの子どもたちの学習フォローに役立てられています。
では、この通信教材はどんな目的・用途を満たすでしょうか。
また、通信教材のメリット・デメリットについても考えていきましょう。
結論からいえば高校受験・大学受験ならベネッセ・Z会で全部網羅できますし、高校受験ならスマイルゼミでも十分対応できます。
中学受験も難関進学校であればZ会のレベルが必要になりますが、偏差値60までの学校であれば使い方次第でベネッセで十分に対応できます。
ただし、もちろん生徒に寄ります。
生徒の学力というよりは以下の3項目を満たしていればと考えております。
①自律できているかどうか
②こつこつと目標達成に向かえるかどうか
③紙とえんぴつを使った演習を行えているかどうか
この記事では上記3つの事がらに加え、Z会、進研ゼミ、スマイルゼミ、すららについてもご説明します。。
自律できているかどうか
集団塾でも個別指導塾でもお問い合わせいただく方のこれまでの学習歴をお伺いすると、多くの方が通信教材を使った学習サポートをしています。
これまでベネッセのタブレットを使ってきたんだけど、塾に変えたほうがいいのかなと思って・・・
Z会の教材を一人でやりこなすことができないから、Z会の教材を教えてくれる個別指導塾を探していて・・・
こういった方に共通しているのは、一人で自律して勉強を進めることが難しいということです。計画を立て、決められた時間に決められた量をこなす。これが行える人はそれほど多くありません。
また決めた計画は分からない問題のせいで思ったように進まないこともあります。分からない問題に出会うと手が止まり、それだけ計画も遅れます。
通信教材でも質問をする仕組みがあるので、わからなかった問題を後回しにしてあとで質問をすると割り切れればいいのですが、わからないままにできないという生徒にとっては通信教材の質問の仕組みでは遅いと感じると思われます。
学習において自律しているということは精神年齢も高くなる必要があります。依存性の高いままだとおそらく保護者の方に質問が集中し付き合いきれないといったことも多く起きています。
こつこつと目標達成に向かえるかどうか
通信教材でも塾でも利用する目的・目標があるはずです。その目的が明確であり、目的達成のために設定した目標に生徒本人が情熱を持っていることは非常に大事なことです。
通信教材や塾を利用する目的・目標は以下のように分類されます。
①受験合格(長期的目標)
②模試の成績向上・クラスアップ・定期テスト対策(中期的目標)
③学習習慣の定着・学習方法の確立(短期的目標)・苦手克服
一般的には①からの時間的距離で通信教材や塾の利用目標が異なります。
以下は学年ごとの目標の一例です。
【中学受験をする場合の通信教材・塾の利用目的】
小6:①受験合格
小5:②模試の成績向上・クラスアップ
小4:②クラスアップ・③学習習慣・学習方法の確立
小3~小1:③学習習慣・学習方法の確立・苦手克服
【高校受験をする場合の通信教材・塾の利用目的】
中3:①受験合格
中2:②模試の成績向上・定期テスト対策
中1:③学習習慣の定着・学習方法の確立・苦手克服
小1~小6:③学習習慣の定着・学習方法の確立・苦手克服
しかし、当初持てていた目標達成に向けての情熱は徐々に薄れていってしまったり目の前の楽しさに誘惑されたりすることが普通です。
もし、塾に通っていればそのクラスでの目標は同じになるため刺激を受けることも多い、先生からも直接学習方法やスケジュール管理、モチベーションアップやモチベーション維持のための声掛けをしてもらえるなど人とかかわることでの効果も期待できます。
こういった人とかかわることでの効果を使うことなく自律してこつこつと目標達成にむけて努力できる生徒なら、通信教材を十二分に活用することができます。
紙とえんぴつを使った演習を行えているかどうか
意外に思うかもしれませんが、タブレットではできていたのに問題用紙・解答用紙といった紙と鉛筆を使ったテストになるとミスが多くなるという生徒は少なくありません。
理由は様々考えられますが、やはり余白の使い方やえんぴつやシャープペンシルで書くという作業自体、あるいは記憶のフックのかかり方が紙のテストに合っていないという生徒は意外に多いです。
余白の使い方は受験において非常に重要な要素です。限られたスペースで計算をしたり、記述問題の下書きをしたりするためには字の大きさの調節や、転記ミスを防ぐ方法など紙だからこそ気を付けなくてはいけないことを気にする必要があります。
えんぴつやシャープペンシルで書くということも自分の字の大きさや丁寧さを日ごろから目にする、気にするといったことが重要で、テストでのみ筆記用具を使うというのは紙のテストに合わせた準備とは言い難いです。
生徒によっては蛍光ペンを使って国語の文章に線を引くという勉強をしていますが、これもテスト中に蛍光ペンが使えないならやめるべきです。
テストに合わせた準備のためには、タブレットで完結させずノートと筆記用具を用いた問題演習が必要なのです。
それでは、大手4社の通信教材について比較をしていきましょう。
Z会
●対象●
年少~高3
●会員数●
約33万人(2023年現在)
●全体的な特長●
難関大に強い通信教育
●小1~小6●
【受講スタイル】
紙とタブレットを使用
【受講目的】
①学習習慣定着
②学校内容の補完
③学校内容の先取り
④中学受験に向けた素地
⑤中学受験対策(小3以降)
【レベル範囲】
基礎・応用・発展
【サポート体制】
①学習相談
※メールにて質問可能
②努力賞制度
添削問題提出につき所定のポイントがもらえます。
【小学部の魅力】
全学年全コースを通して書かせる問題、考えさせる問題が多く、表現力、基礎力を身に着けることができます。
メイン教材1冊の中で基礎的な問題から徐々に応用的な問題へと進んでいくためテキストを進めることで教科書レベル以上の力が身につく構成になっています。
●中1~中3●
【受講スタイル】
紙とタブレット
【受講目的】
①定期テスト対策
②高校入試対策
③英語講座(英検準1級まで目指せる)
④プログラミング講座
【レベル範囲】
標準~最難関
【サポート体制】
①自分専用学習
②保護者の学習確認機能
③質問サービス
④添削サービス
⑤個別進路相談
【定期テスト対策の特徴】
1教科から受講できるので塾との併用もしやすいです。
添削は記述問題中心でプロの添削者が答えに至るプロセスを含めて理解度を確認し一人ひとり丁寧に見てくれます。
●高1~高3●
【受講スタイル】
紙・タブレット
【受講目的】
学校内容の補完・先取り
大学受験対策
【レベル範囲】
高1から発展的添削問題・入試演習問題を行います。
【サポート体制】
添削はどこで間違えたかを指導してくれます。
質問・相談もOK
英語力(4技能)の測定を定期的に行います。
保護者も進捗や添削を確認できます。
【高校部の魅力】
高1の冬から大学受験に向けた対策をAI学習も使用しながら効率的に行うことができます。
受験で重要な英語力の測定や総合型選抜や学校選抜の特別コンテンツサービスの情報も高1・2から獲得できます。
受験に向けた必要な教科を1科目から受講できます。
高1の冬から大学受験に向けた対策をAI学習も使用しながら効率的に行うことができます。
進研ゼミ
●対象●
0歳~高3
●会員数●
約220万人(2023年現在)
●特長●
会員数ではNO.1。唯一0歳からの講座がある。
●小1~小6●
【受講スタイル】
紙とタブレット
【受講目的】
①学習習慣定着
②学校内容の補完
③学校内容の先取り
④中学受験対策(小4以降)
【レベル範囲】
基礎・発展
【サポート体制】
①質問対応
②努力賞制度
③進捗確認システム
④チャレンジサポート電話
【小学部の魅力】
保護者がつきっきりで勉強を見なくてもある程度本人が1人で進められる工夫があります。
基礎の定着に重きを置くのか、発展、応用的な問題にも取り組むのか、選択することができるので子どものレベルに合わせた学習ができます。
●中1~中3●
【受講スタイル】
紙・タブレット
【受講目的】
①定期テスト対策※9科目
②高校入試
【レベル範囲】
標準~難関
【サポート体制】
①自分専用学習
②保護者の学習確認機能
③質問サービス
④添削サービス
⑤個別進路相談
【定期テスト対策の特長】
目標点から逆算して勉強計画を立ててくれます。
定期テスト予想問題にも取り組むことができ、同じ中学校の先輩がいれば昨年度出された問題には「学校別マーク」がつきます。
●高1~高3●
【受講スタイル】
紙(タブレットではなく、スマホに教材を配信。使い放題)
【受講目的】
学校内容の補完
※高1の秋より大学受験対策
【レベル範囲】
高1の秋から志望のレベル別で選択受講が可能です。
【サポート体制】
スマホで全教科の対策ができます。
わからないところは24時間質問可能。ほぼ翌日には返答してくれます。
AIで苦手に絞った対策ができます。
志望代別のカリキュラムで厳選されており、無理なく対策できます。
【高校部の魅力】
スマホで学習ができるので通学の隙間時間に学習できます。
学校の進度に合わせたテスト対策ができます。
文理選択や進路相談について担任コーチからアドバイスを届けてもらえます。
推薦入試も見据えて英語4技能対策ができます。
スマイルゼミ
●対象●
年少~高3
●会員数●
非公表
●全体的な特長●
タブレット教材のみ。高校生コースは2022年11月開講です。
●小1~小6●
【受講スタイル】
タブレットのみ
【受講目的】
①学習習慣の定着
②学校内容の補完
③学校内容の先取り
※小学生のうちから高校入試につながる実力を伸ばします
【サポート体制】
①進捗確認システム(保護者専用アプリを使用)
②オンライン対戦
リアルタイムで同時間帯に同対戦に参加している人たちと問題を解いて競い合うことが可能
【小学部の魅力】
タブレット教材のみなので紙教材や付録がたまることなく、タブレット1台で完結できます。
子どもの理解度に合わせてAIがやるべき問題を自動で提案してくれるため、苦手な問題はその都度復習をし反復しながら克服することができます。
●中1~中3●
【受講スタイル】
タブレットのみ
【受講目的】
①定期テスト対策※9科目
②高校入試
【レベル範囲】
標準~難関
【サポート体制】
①自分専用学習
②保護者の学習確認機能
【定期テスト対策の特長】
速さ×正確さを鍛える3分間トレーニング
暗記カードで効果的な暗記学習をサポートします。
すらら
●対象●
小1~高3
●会員数●
約43万人
●全体的な特長●
経済産業省「未来の教室実証事業」に採用され。学習塾、学校等約2600校で採用されています。
●中1~中3●
【受講スタイル】
タブレットのみ
【受講目的】
①学習習慣定着※5教科
②子どもの状況に合わせた学習支援(不登校・発達障害)
【レベル範囲】
基礎のみ
【サポート体制】
①自分専用学習
②保護者の学習確認機能
③質問サービス
【定期テスト対策の特長】
定期テスト対策という記載はなし
受講生の声の中には定期テストの点数UPの紹介はあります。
●高1~高3●
【受講スタイル】
タブレットのみ
【受講目的】
学校内容の補完※高1の秋より大学受験対策
【レベル範囲】
基礎のみ
【サポート体制】
特性を理解したカリキュラムで学習設計をしてくれます
AI搭載型ドリルで理解に合わせて自動調整をしてくれます
現役で塾牡牛をしている「すららコーチ」が学習を兼任サポートします。
【すららの魅力】
偏差値30台から受講ができる無学年システムで自分の進度に合わせた英語をリリースしています。
不登校や帰国子女の情報もあり、ニッチな希望に合わせたサポート体制も変化しています。
最後に
のちほど、タブレット教材や通信教材について広告も準備しますが、通信教材はとにかく、自分自身が自律して進むことが必要です。
逆に自律できていれば、どんな通信教材を使っていても効果は上がります。
わが子の適性を塾と一緒に見極め準備を進めていく必要があります。
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