鉄緑会という塾をご存じの方には馬鹿にしているようなタイトルの記事ですが、念のために鉄緑会から説明します。
鉄緑会とは東京大学を目指す選抜された生徒たちが通う会員制の塾です。
一部の塾のように有名無実化した入塾テストで選抜された会員ではなく、東京大学合格の素養を入塾テストで示せなければ熱望しても入れません。
その鉄緑会に合格発表から入学式前までの期間限定ですが無試験で入れる学校群があります。
この学校群を一般に「鉄緑会指定校」と呼んでいます。「鉄緑会指定校」はおよそ4年に1度、以下の項目で見直しが行われます。
・東京大学合格者が多い学校
・東京大学合格率が高い学校
・医学部合格者数が多い学校
この鉄緑会指定校の基準は大学合格実績で学校を選出しています。
鉄緑会指定校になっているかどうかを見るとその時代の超難関進学校を知ることができます。
御三家は古い?
中学受験において御三家という言葉が使われて久しいですが、千葉御三家、神奈川御三家などと地域に絞るとさらに出てきます。
御三家は伝統校が多く、偏差値も高いです。一方で、この御三家には人気の大学附属校は含まれていませんし、新しく台頭してきた学校も含まれません。
私の知る限り、以下のようなカテゴリがあります。
男子御三家:開成・麻布・武蔵
女子御三家:桜蔭・女子学院・雙葉
千葉御三家:支部や教育学園幕張・市川・東邦大東邦
神奈川男子御三家:栄光・聖光・浅野
神奈川女子御三家:フェリス・横浜共立・横浜雙葉
他にも吉祥女子・豊島岡・鴎友をひとくくりにしたり、埼玉なら栄東や開智、共学なら渋谷教育学園渋谷や広尾学園などが台頭しています。
また早稲田中などは大学附属校ですが、東京大学への進学も多いです。
こういった学校をひとまとめにして、どの私立が東京大学合格に近いのかを考えるのに、「鉄緑会指定校」というカテゴリは非常に便利なのです。
鉄緑会指定校はどこか?【指定校に合格したら】
2023年11月時点で鉄緑会指定校は以下の学校です。
鉄緑会指定校は3~4年に一度程度の不定期なタイミングで見直しが行われます。
【鉄緑会指定校】※鉄緑会の表記に準じます。
男子校:開成・筑大駒場・麻布・駒場東邦・海城・栄光・聖光・早稲田
女子校:桜蔭・女子学院・雙葉・豊島岡
共学校:筑大附・渋谷幕張・渋教渋谷
合計15校
この指定校は必ず15校というわけではなく、13~15校の間で追加・削減を繰り返しています。
そういう意味では昔から不動の御三家に比べると流動的で、最新の超難関進学校を表しているといえます。
通常、志望校に合格したら入学手続をしたり家で待っている祖父母やお世話になった塾に連絡をしたりします。
しかし、この鉄緑会指定校に合格したらそのほかに鉄緑会の入塾説明会に参加して土曜日の席を確保することをお勧めします。
この15校に合格するということは12歳時点で最も東京大学で学べる資格に近いということになります。
早慶でいいなら早慶附属へ進学すればよいのです。東京大学に進学するからこそこの15校への合格を目指したのではないでしょうか。
この鉄緑会指定校の恩恵を受けられるのは合格後から入学式までです。
入学後は鉄緑会指定校の特権である無試験での入塾はできなくなり、難しい入塾試験を突破しなければならなくなります。
また、入学後の部活の活動日がわからないといった理由で平日の予定を空けておきたいと考えると必然的に土曜日のクラスの予約を取ることになります。
東京大学の合格者で鉄緑会出身者はかなりのシェアを誇ります。
実際の数は鉄緑会のHPに譲りますが、ご自身が合格した学校が鉄緑会指定校ならば迷うことなく鉄緑会の説明会にご参加ください。
少し休ませたいという保護者の方もいるでしょう。
しかし、もう6年後の大学受験準備は始まっているということはお伝えしておきます。
早慶でいいなら大学附属校という選択肢も
前述しましたが、慶應大学や早稲田大学といった私学の雄でいいのなら中学受験時に大学附属校を目指すことをお勧めします。
学校によって内部進学率に差はありますが、首都圏にある慶應附属、早稲田附属であれば早稲田中をのぞいておよそ8割以上の内部進学率を誇ります。
また、早慶附属志望であれば、MARCH附属の準備も容易になります。ほかの記事でもお伝えしていますが、大学附属校の入試問題はスピードと正確さを重視する入試問題です。
偏差値が高くても難関進学校で求められる論理的思考力や発想力、表現力を必要とする入試ではありません。
早慶でいいなら大学附属校を目指す方がより確実に早稲田大学・慶應大学に進学できます。
そして大学附属でいいなら、早慶附属であってもデイリーサピックスや予習シリーズのような難易度の高いテキスト、日能研のテストのような大型記述の練習は不要です。
中学受験の目的と目標とする志望校によってはSAPIX・早稲田アカデミー・日能研といった大手進学塾での準備が不要でもっと標準的な問題をスピーディーに正確に解く練習ができる方が効率的・効果的であるともいえます。
一度、必ず過去問と普段使っているテキスト、テストを見比べてください。
そんなに難しい問題、解ける必要がありますか?
むしろ、大学附属校受験を突破するためのスピードが備わっていますか?
東京大学を目指すことが当たり前の環境
あらためて、鉄緑会指定校に選ばれるということは東京大学を目指すことが当たり前の環境です。
鉄緑会指定校には現在、男子御三家の1つ武蔵ですら選ばれていません。
これは武蔵のレベルが低くなったわけではなく、他の学校レベルと他の学校の受験指導の方向性と強さが東京大学合格を作っているからと言えます。
以前、「開成を目指すならSAPIXでの準備が必要だけれど、そこまでの志望校ではないし、SAPIXの復習をご家庭で手取り足取りやらないといけないから転塾を考えている。」という方からご相談を受けました。
私は大学附属校に志望校を切り替えようとしているのかなと、慶應中等部や青山学院中等部などの学校を想定してお話を伺っていたのですが、保護者の方から出てきた学校名は駒場東邦と海城でした。
確かに開成に比べればSAPIXオープンの偏差値で両校は開成の下に位置します。
しかし、鉄緑会指定校にも選ばれ続けている駒場東邦や海城の合格は開成の合格よりも簡単だとは私には思えません。
同じ難関進学校合格に向けたカリキュラムで論理的思考力や発想力・表現力を養う必要があります。
また、正直ご家庭で手取り足取りしなければSAPIXの復習がままならないのであれば駒場東邦や海城の合格に向けた勉強の継続は工夫を施したとしても難しいことは容易に想像できます。
鉄緑会指定校に合格しようとすることは、東京大学進学に最も近い存在になるということです。
入口の偏差値は人気のバロメーターであり合格のしにくさを表していますが、必ずしも入試問題の難しさとは比例していません。
中学受験の目的については節目のタイミングでお子様とお話をし続けることをお勧めいたします。
鉄緑会のホームページはこちら。
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