【中学受験の真実】大学附属校受験に大手進学塾の論理的思考力を育成するカリキュラムは不要

中学受験の真実

大学附属校の中学受験には御三家を筆頭とする進学校合格に焦点を当てた大手進学塾のカリキュラムや教材は不要です。

大学附属校受験において、論理的思考力や発想力・表現力を重視する問題はほとんど出題されず、出題されても合否に影響を及ぼしません。

偏差値と入試の出題難易度は比例していません。偏差値が高いからといって必ずしも入試問題が難しいわけではないのです。

大学附属校の欲しい生徒像と進学校の欲しい生徒像には大きな違いがあります。そのため入試問題が違うのです。

この記事では

進学校にこだわるなら大手進学塾についていく必要がある

大学附属校に進学したいなら基礎学力習得し早めに過去問演習に着手するべきである

以上の2点について考察をしていきます。

大学附属校は中学入試人気の救世主

中学受験人気はリーマンショックの影響により2008年をピークに落ち込み、その後V字回復をして今に至ります。

このV字回復の一番の要因が大学入試改革への反発からくる大学附属校人気でした。

昔から早慶附属や一部のMARCH附属校は人気があったものの、日東駒専の附属に至るまでここまでの人気ではありませんでした。

しかし教育の一極集中を緩和しようと打ち出した入学定員に対しての合格者数厳格化(以下定員管理厳格化)は早慶上理とMARCHの入学難易度を著しく高いものにしました。

その結果、大学受験をさせたくない、中学から大学附属校に入学させてしまおうというご家庭が増えました。

昔は中学受験で入る大学まで決めてしまうのは選択肢をせばめるという理由で敬遠されることもありましたが、浪人率が低くなり、多様な受験種別が展開される中で、一般受験の定員も減少傾向にある時代では、結果として中学受験における大学附属校人気に拍車をかけることになりました。

進学校の求める生徒像

進学校の求める生徒像とはずばり、「6年後の大学受験において合格実績を出すことのできる素養の持つ生徒」です。

私学にはすべて建学の精神があり、建学の精神に基づいて学校運営がなされています。

一方でどの進学校も大学受験で成功をするということが学校運営上必要です。その年の募集はその年の大学合格実績と大きくリンクしています。

毎年の大学受験において失敗は許されません。

大学受験を成功させるには小学校6年生段階で精神年齢が高く、読解力、整理力、論理的思考力や発想力、表現力といった能力を高いレベルで身に着けている生徒に入学してもらう必要があります。

入試問題ではこれらの力が備わっているかどうかを測り、大学入試に向けた準備をさせていくのです。

中学受験塾の歴史とは進学校型入試問題とともに歩んできた歴史です。

今も年々予習シリーズ、デイリーサピックスは内容が難しくなっています。

まさに御三家+筑駒・渋幕の合格を目指した学習項目とカリキュラムといえるでしょう。

このカリキュラム自体は進学校型入試問題への対応という点においては非常に素晴らしいものです。

大学受験を目指していく進学校を受験する場合には、大手進学塾での準備は必須です。

大学附属校の求める生徒像

大学附属校の求める生徒像は、「附属の大学で活躍できる生徒像」です。

8割以上が附属の大学へと進学する大学附属校においては大学受験を突破する人材を選ぶ必要はありません。

附属の大学で活躍できるという生徒像は学校によって多種多様です。

大学受験という画一的な選抜試験に臨む必要のない大学附属校にとっては、建学の精神の体現は非常にしやすく、大学附属校の求める生徒像は学校ごとに大きく異なるものとなっております。

過去の入試問題を見ても明らかですが、論理的思考力を伴うような難問が出ない反面、大手進学塾主催の模擬試験に類似したような出題が必ずしもされないのも大学附属校の特徴です。

例えば、国語においては多くの進学校が論説文と物語文の2題構成だったり御三家のレベルになると物語あるいは随筆の出題のみで長文記述の問題が多いといった特徴があります。

これは大学入試において特に国公立大学入試で必須の表現力の素養を見ているといわれています。

しかし、ある大学附属校では国語の大設問が6つで、漢字・知識のほか、詩・物語文・論説文・随筆がすべて出題され記号問題ばかりという出題がされています。

すなわち、進学校型の準備をしている生徒は記述力を高めなければならないのに対し、大学附属校の入試では記述よりも正確に読み取ること、聞かれたことに答えることのできる力を見られます。

大手進学塾の模試は進学校型入試を意識して作られています。

そのため大学附属校の入試問題ではお目にかからないような記述偏重型の出題となります。

進学校の合格判定には一定以上の信ぴょう性がありますが、出題傾向の違う大学附属校の合格判定については疑わしいと言わざるを得ません。

大手進学塾のカリキュラムが大学附属校受験に合わないままの理由

大学附属校が人気になったのは定員管理厳格化が始まった2016年以降です。

しかし、中学受験の教材やカリキュラムは大学附属校の内容に合わせることはなく、予習シリーズもデイリーサピックスも御三家を筆頭とした進学校合格に向けた教材であり続けています。

それを可能にしているのが偏差値万能主義です。

偏差値が高い=頭がいい=問題が難しい。

この等式を盲目的に信じ込まされ続けている受験生および受験生家族は非常に多いです。

その結果、組み分けテストやマンスリーテストにずっと一喜一憂し、入試の過去問に直前まで触れないまま11月を迎えてしまうというケースは少なくありません。

大学附属校受験においては以下の等式になります。

偏差値が高い=附属大学の人気が高い

偏差値が高い≠問題が難しい

偏差値の高さと入試問題の難しさは比例しません。

別の記事でも触れていますが、大学附属校を軸に受けていくのであれば、6年の夏前から過去問演習に取り組み、12月には自分の志望校の出題傾向や時間配分、見直しのポイントが言えるくらいに入試問題を知り尽くしている必要があります。

なのになぜ、大手進学塾はこの準備をさせないのか。

答えは簡単です。そんなことをしてしまったら大学附属校志望の生徒が塾の授業に参加しなくなるし、大手進学塾の指標はいまだに御三家の合格者数だからです。

偏差値の高さは入試問題の難しさと言い続けていれば、6年の夏期講習の参加率、選択講座の申し込み率は高くなります。なぜならそれが志望校合格に必要だからと言われるからです。

また、御三家合格できるレベルの生徒たちは器用に大学附属校の入試問題に対応することができます。

有名な子役だった俳優が女子学院と慶應中等部にどちらも合格をしたことが話題になりましたが、その受け方をして合格できるのはかなり精神年齢が高く、順応性のある生徒だけです。

しかし、入試問題を見てみてください。例えば共学の偏差値のトップに君臨する慶應中等部の入試問題と大手進学塾のテキストやテストを見比べてください。

そんな難しい問題、出てますか?

中学受験の目的は志望校合格であってSSをキープしたりNNの基準を突破することではないはずです。

普通の子がきちんとした準備をすれば合格できるのが大学附属校受験なのです。

大手進学塾の利用の仕方

別の記事で説明をしますが、いわゆる鉄緑会指定校の合格を目指すのであれば大手進学塾のペースについていくことに効果があります。

御三家を筆頭とした進学校合格のためのカリキュラムであることは間違いありません。

しかし、2016年以降急に人気になったのが大学附属校です。

前述の通り、大手進学塾が仮に大学附属校受験のためのカリキュラムを作成した場合、6年夏以降は過去問演習中心にせざるを得ません。

そうなれば今の収益性を担保できません。あれだけ長い時間の拘束や、あれだけ多種多様な選択講座を受ける必要がなくなってしまうのです。

また、大手進学塾でも校舎長や室長といった人間だけではなく、中学受験に携わって日の浅い教務主任と言われる人間が受験指導に当たっている場合もあります。

この場合、自分の受け持ちの科目に偏ったアドバイスになることが多く、適切な受験指導がなされていないケースも散見されます。

その結果、偏差値だけで決めた志望校シミュレーションとなり、うまくいかなくなることも多々あります。

大手進学塾は中学受験の中でも進学校に焦点を当てたカリキュラムであること

大学附属校受験は同じ中学受験でも全く違う力を求められていること

ここを肝に銘じた上で特に大学附属校受験をする生徒の6年7月以降の過ごし方については再検討すべきであると思います。

私なら徹底した過去問演習と首都圏模試過去問を使った問題処理能力の速さと作業の丁寧さ、制度の高さを目指した学習を提案します。

個別指導を使った過去問演習もご検討を。

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