何で勉強しなきゃいけないの?と子どもに聞かれたらどうしていますか?
そんなこと言わずに勉強しなさい!
しなきゃいけないからしなきゃいけないの!
多くの保護者がこんなことを言ってると思います。
しかし、それでは子どもはなかなか動ぎせん。
私は生徒たち、保護者の皆さまにこの質問をされた際に必ず言っていることがあります。
ありがたいことに生徒たちの多くも保護者も納得いただけることが多いです。
私が塾の仕事を続ける哲学の一つですので特別にご紹介します。
あなたが社長なら誰に会う?
突然ですが、あなたは社長です。
新入社員を採用したいのですがあなたは多忙なため会える人数が限られています。
ある日、面接をする候補者を書類から選ぶことになりました。
候補者は次の3人。いずれも22才です。当然のことながら性別は関係ありません。
①東京大学を来春卒業予定。
②私立大学を来春卒業予定
③高校卒業後、アルバイトで生計を立てていたが、今回正社員を希望。
色々な意見があるかと思います。
⚫︎優秀だと思うから①の人物に会う!
⚫︎社風に合うのは②の人物かな。
⚫︎アルバイトとはいえ社会人経験があるから③の人物で。
もちろん正解があるわけではありません。自分が社長ですからどの人物に会うのも自由です。
私の場合は①の人物に会います。
大事なのはその理由です。
私は能力の高さや頭の良さといった理由で選んだわけではありません。
仕事を共にしていけるより良い人材に会える確率、可能性を書類だけで選ぶと①の人物が該当する可能性が高いからです。
これには仕事に求められる基本的な性質が関係しています。
仕事をする上で必要なこととは?
仕事をする上で大事なことは何か。
私よりも社会人経験の豊富な方も読んでいるのにおこがましいのですが、ここを考えることがとても大事です。
仕事を以下のように定義しました。
仕事とは設定した目標に対して現状を把握し、目標と現状の差を課題として捉え、目標達成のために、課題を解決していくこと。
課題はさらに細分化され課題解決のために、
⚫︎人と物とお金をどう使っていくのか、⚫︎いつまでに解決していくのか
などを決めていき、実行していく必要があります。
努力が必ずしも認められたり報われたりするわけではありません。
頑張っていても成果が出ない、目標が達成できない場合以下のことが考えられます。
⚫︎努力量が足りない(これはそもそも、常識の範囲でもっと頑張ろうということになりますので今回は焦点ではありません)
⚫︎努力の仕方が間違っている
⚫︎努力する方向性がずれている
うまくいかない時に、そのまま努力を続けることがいいとは限りません。
成果を出すためにはその努力の仕方や方向性に間違いがないかをふり返る必要があります。
このことは社会人になったから起きているわけではありません。
実は学生時代にすでに起きています。
客観的に正しいことを主体的に行う
学生の時はその最たるものが受験なのです。
学歴=能力の高さではない?
学歴は能力の高さではありません。
東京大学を出たのにあの程度なのか?などと出身大学を個人の能力と同一視する方がいますが、その考え方は間違えているし、誰も幸せになりません。
私が①の人物に会う理由も能力の高さ、頭の良さといった理由ではありません。
仕事で求められる客観的に正しいことを主体的に行うことを、学生時代に一番適切に行えたからこそ東京大学に進学できたのです。
つまり、
⚫︎正しい方向で
⚫︎適当な方法で
⚫︎適切な努力量を継続して行えた
ということです。
そういう人物なら仕事でも正しい方向で適当な方法で適切な努力を継続して行ってくれるのではないか。
ここまでの実績を高く評価し、期待をするのです。
当然ながら仕事と勉強は違います。勉強ではうまくいったのに仕事でその力を発揮できない人もたくさんいます。
だから一番最初にチャンスが回ってくるものの、その後そのチャンスを活かせるかどうかはもう学歴とは違った競争になっていくのです。
東大生は頭がいいというのは否定しません。
しかし多くの企業が求める頭の良さは果たして東大生は頭がいいと言っている頭の良さと同じでしょうか?
また自分で起業する時に、東大生の持つ頭の良さだけで成功できるでしょうか?
学歴が示してるのは能力の高さではありません。
⚫︎過去の自分がどのくらい客観的に正しいことを主体的に行えたか。
⚫︎その結果どんな成果を出すことができたのか
この2点を書類のみで客観的に評価するには今まで何をどこで学んだかを見る他ありません。
②③の人物の方が結果的に優秀かもしれません。ただそれはあくまで結果です。
この段階では、②③の人物を①の人物と比べて書類のみで積極的に会いたいと思わせることは難しいです。
私は生徒たちにこの書類での選考で損をさせてしまうようなことをできる限り減らしたいと考えています。
たかが受験、されど受験なのです。
未来の選択肢を増やすために
未来の選択肢を増やすなら絶対に大学に行くことをお勧めします。
もちろん、企業に勤めないということならこの限りではありません。
スポーツ選手や芸能の仕事、自分で起業する場合など組織に属さず仕事するのならほとんど関係ない話です。
ただ、少しでも組織に属して仕事をする可能性があるなら大学に行くことを薦めています。
生徒には、
⚫︎5分話せばあなたの魅力はわかる
⚫︎でもその5分を作るには会ってみたいと書類で思わせなきゃいけない
⚫︎その書類には学歴しか書いてない
ということを伝え、
⚫︎書類で弾かれないようにしたい
⚫︎せっかくこんなにいい人物なのに書類だけで判断されるのは俺が悔しい
ということを伝えています。
未来の選択肢を豊富にするためには勉強するべきなんだと何度も何度も話しているのです。
最後に
勉強をするメリットは当然たくさんありますが、今回はあまり語られていない学歴の表すものという観点からお話しました。
もちろん、受験勉強に限らず勉強すること自体にたくさんのメリットがあります。
しかし、子どもたちにとっては勉強の本質的なメリットは実は伝わりづらく、大人になってから必要性を知り、勉強しておけばと思うようになるのです。
塾だからこそ学校で教えてくれないことを教えられる大人でありたいと思っています。